ゲスト講師の授業

 数年前より、福祉系大学の外部講師を依頼されることがあります。司法福祉について、専門の授業ではなくお話しします。自分の年齢はあまり意識することがないというか、あえて意識しないようにしているところがあります。しかし、ここ数年で、学生さんに伝わる話が少なくなってきて、意識せざる負えなくなっています。

 平成15年に山本譲司さんの「獄窓記」が出され、刑務所の中に知的障害のある人たちが存在することが明らかになって以降、罪を犯した障害者支援は進んできています。加えて高齢者の犯罪とされる問題もいっしょに進んでいます。長崎の社会福祉法人南高愛隣会が次々と研究事業をおこない、平成21年には地域生活定着支援センターが制度化され、刑務所や更生保護施設に福祉専門職が配置されていきました。平成28年には再犯防止推進法ができ、本年、令和3年度には厚生労働省において入口支援(被疑者等支援業務)が始まっています。

 このような流れや刑事司法のいろいろ、高齢者や障害のある人の犯罪の事例などを、ゲスト講師として学生さんにお話をします。平成15年からの歴史(?)の話や制度の変遷についてはやはり眠たかろうと、つかみをいくつか用意しています。テレビや映画の話が多いです。2時間ドラマからもってくることが多いのですが、検事は現場で捜査をしないとか、弁護士さんの様子とかです。一時はHeroや京都地検の女でしたが、若い人はテレビを見ることが少なくなっているそうで、番組の説明からしなくてはならなかったり、それよりも今年はHeroのキムタク=木村拓哉さんを知らない学生さんがいて、木村さんの娘さんの名前を言おうとして名前が出てこなかったり、つかみが全くつかめていない状態です。

 また、昨年からはオンライン授業で、学生さんは顔出しをしないことが多く、まぁ、あじけないこと。教室で反応を見ながら話しのふくらましもできません。その場での質問もなく「暖簾にうでおし、糠に釘」。ところがリアクションペーパーを後日いただくとたくさん書いてくださる。常日頃の大学の先生のご努力に頭が下がる思いです。「ご苦労様です」

 来年のゲスト授業、つかみのためのネタを仕入れなくてはとおもいます。コロナ禍もおさまり対面になれば、また学生さんの反応も見える、けど、若者との年齢差はまた1年くわわるので、ネタ~、と焦る今日この頃です。

(小林)