裁判の判決で、例えば、「懲役1年6か月、執行猶予3年」と言われることがあります。これは、裁判所が刑の言い渡しをした場合に、情状によって執行を一定の期間留保し、その猶予期間内に猶予を取り消されず、無事通過するときは、刑を科さないとする制度(刑法25条)です。
つまり3年間、同様の犯罪を犯さなければ、懲役刑をまぬがれることになります。これは無罪なのではなく、有罪なのですが、社会の中で試されることになります。3年の間にまた捕まるようなことがあれば、その新たな犯罪の刑と、前の刑1年6か月が合わさった期間の懲役をすることになります。
保護観察付執行猶予という判決もあります。単なる執行猶予とは異なり、保護観察付執行猶予になると、執行猶予の期間、保護観察所の指導と保護司がつきます。保護司さんの面接を定期的にうけて(だいたい月2回)、決められた住所で生活をします。決められた住所は自宅など自分できめるのですが、住所は保護観察所に登録をされ、転居や7日以上の旅行は、保護観察所長の許可を得なくてはなりません。
刑事司法ソーシャルワーカーが弁護士から受任する案件は、ほとんどが障害や高齢などの情状がある方です。裁判で、その情状(障害や高齢の状態と支援が必要な状況等)と、判決後の対応(ソーシャルワーカーの支援や福祉制度の利用等)を説明し理解していただくことで、執行猶予を得ることが多いです。猶予中にソーシャルワーカー等の支援を受けて、生活を再建します。