更生保護施設

 犯罪を犯した人や少年で頼ることができる人がいなかったり、生活する環境が利用できる法務省関連の施設です。矯正施設対処者や保護観察者、更生緊急保護者等が一定の期間、宿泊・食事の提供をうけます。期間はその人の状況で異なります。就労指導や社会適応のための指導等があり、円滑な社会復帰を支援する施設です。

主な支援は以下の通りです。(法務省ホームページより)

○生活基盤の提供
 宿泊場所や食事の提供など,入所者が自立の準備に専念できる生活基盤を提供します。

○円滑な社会復帰のための指導や援助
 日常の生活指導など,入所者が地域社会の一員として円滑に社会復帰するための指導を行います。

○自立に向けた指導や援助
 就労支援や金銭管理の指導など,入所者ができるだけ早く一人立ちを果たし,退所した後も自立した生活を維持していけるように必要な指導や援助を行います。

○入所者の特性に応じた専門的な処遇
 更生保護施設に入所する人の中には,飲酒や薬物へ依存の問題を抱えていたり,対人関係をうまく築くことができなかったりするなど,社会生活上の問題を抱えている人が少なくありません。
 更生保護施設では,入所者がこうした問題を解決して,社会生活に適応するための専門的な処遇を行っています。

□酒害・薬害教育
 アルコールや薬物の害を学習し,これらに依存しない生活を維持していくことを目的として,医療機関や福祉機関とも協力して実施されます。

□SST(Social Skills Training)
 心理学の認知行動療法に基づいて対人関係場面での振る舞い方を体験的に学ぶものであり,円滑な社会復帰のために効果があると認められています。

□コラージュ療法
 芸術療法の一つであり,雑誌などから好きな写真やイラストを切り抜いて台紙に貼り付けるものです。言葉にできない感情を表現し,心理的な開放感や思考の深まりを促し,情緒の安定を図ります。

 この他にも,パソコン教室,ワークキャンプ,料理教室など,入所する人の問題に応じたきめ細かい処遇が実施されています。

 更生保護施設は全国で104施設。東京都内には約20の施設(現在工事中の施設もあるため)があります。法務省関連の施設であるため、原則就労自立ですが、利用者の中には障害や高齢のために就労自立が難しい人もいます。その場合、生活保護などの福祉制度へのつながりには、地域行政との間でスムーズにいかないこともあるようです。

 また、保護観察所には更生保護施設とは別に「自立準備ホーム」が登録されており、更生保護施設のように出所者や更生緊急保護等で利用希望の方を受け入れています。

更生保護施設も自立準備ホームも、本人の利用希望を保護観察所に申し出てきまります。矯正施設入所者が仮釈放で利用希望の場合は、帰住希望地の更生保護施設の職員が事前に面接を行います。更生緊急保護の場合は、申し出た保護観察所の保護観察官が面談をおこないます。いずれの施設も相部屋(昨今は個室もあります)で禁酒です。面接ではこれを護れるかを問われるようです。

 なお、紛らわしい言葉に「更生施設」があります。これは生活保護法による保護施設で、福祉事務所に申請をします。こちらも禁酒です。