国選弁護人と私選弁護人

 刑事事件には、被疑者・被告人の弁護活動を行う弁護人(弁護士)がいます。弁護人には「当番弁護人」と「国選弁護人」、「私選弁護人」がいます。

 まず、「当番弁護人」がいます。当番弁護人は、逮捕後72時間以内に1回だけ被疑者が今後の対応などについて相談できる弁護士です。逮捕されたときに警察から弁護士を頼む権利があると言われます。当番弁護士の制度自体は1度の接見のみですが、当番弁護士として派遣された弁護士に、その後も継続して弁護活動をしてもらいたい場合は、その当番弁護士の方を私選弁護人として選任することができますし、そのまま国選弁護人になってもらえることもあります。

 国選弁護人は、国(裁判所)が選任した弁護士です。72時間の逮捕機関が終わり、勾留されるとついてくれるのが国選弁護人です。資材が無ければ国選の弁護人をたのめると言われ、お願いしますと答えると、あらかじめ名簿に登録された弁護士の中から選ばれるもので、選ばれた後に変更はできません。なんらかの障害が認められる時は、法テラスにあるSH名簿という研修を受けた弁護士に依頼がいきます。在宅事件にはつきません。

 国選弁護人は法テラスの制度です。国選弁護人がつく条件は資力が50万円以下、法定刑が死刑・無期もしくは長期3年を超える懲役もしくは禁錮にあたる事件となっています。また、被告人となったときに私選弁護人を選任していない場合も、公判前整理手続・期日前整理手続・即決裁判手続による事件(例えば在宅事件で起訴される)については国選弁護人が選任されます。

 私選弁護人は、被疑者・被告人本人やその家族等が契約をして、弁護士費用を支払って弁護活動を依頼します。当然ながら弁護費用はまちまちで、契約によります。私選弁護人は費用負担はしなくてはならないですが、依頼者の目的に合わせた弁護活動が期待できるようです。

 なお、国選弁護人が付けられない事件でも、日本弁護士会に、「刑事被疑者弁護援助」があります。身体を拘束された刑事被疑者のために、接見とアドバイス、警察官・検察官との折衝、被害者との示談交渉、その他被疑者段階の刑事弁護活動一般を行う弁護士に、依頼者に代わって弁護士費用を支払う制度です。資材が無いのに私選弁護人だと思ったら、この制度で弁護士がついているということもあります。もちろん、依頼者が被疑者国選弁護を受けられるときには利用できません。