BPSモデル

 昨今、BPSモデルという言葉をたびたび聞きます。BとはBio-生物、PとはPsycho-心理、SとはSocial-社会です。しかし、これは決して、すっごく新しいことではなく、1977年に精神科医のジョージ・エンゲルが、生物医学モデルになり代わる新しい医学観*として発表されたもののようです。

*(The Need for a New Medical Model: A Challenge for Biomedicine, Science,New Series, Vol. 196, No. 4286 (Apr. 8, 1977), 129-136.)

 山口県立大学の水藤昌彦先生が、国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の「理論と実践で学ぶ知的障害のある犯罪行為者への支援」*(2017年5月発行 P10-14)のなかで、生物・心理・社会(BPS)モデルによるアセスメントをたいへんわかりやくす解説くださっています。

 このBPSモデルは先にも書きました通り精神医学から出てきていますので、発達障害のある人のトラウマ(含む複雑性PTSD)の研修会他でもよく出てきますし、東京北医療センターのホームページでもロールキャベツをバックに解説が掲載されています。(話が他へ逸れますが、「ロールキャベツ系ワクワク総診」(見た目は草食系で中身は肉食系)についてホームページでおいしそうな写真とともに語られています。ロールキャベツ系ワクワク総診とは 東京北総診 東京北医療センター総合診療科 (tokyokita-resident.jp) あの北療が、と感慨深く覗きました。)

 今回、このBPSモデルについて書こうと考えたのは、カンファレンスの必要性について雑談的に話す機会があったからです。ある特定の人のカンファレンスを開いてどうなるのかを説明していました。水藤先生のご説明をもとに語っていた時、おぉと気づきました。

 犯罪お悩みのご相談を受けていると、罪を犯した障害のある人の地域生活支援について、特効薬のような回答を求められることがあります。しかし、そのような特効薬はありません。その人をつまみ出す方法を求められることもあります。それではかつての福祉施設化した刑務所や社会的入院が横行していた精神医療に戻ってしまいます。特効薬ではなく、その対象となる人の、その事件に至るB「生物的要因」、P「心理的要因」、S「社会的要因」を確認し、アセスメントを行い、現状で関係する人々に集まっていただき、ご本人の求める、納得される支援体制を組んでいくことが必要-有効のようです。(納得されないと再発しますから) 

 多職種連携といいますが、その人をめぐる多職種や関係者が状況を持ち寄り、支援の在り方を作るのが良いようです。特に地域生活では必須なのだとおもいます。行政や支援センターだけでなく、民生委員、町内会、コンビニやスーパーの人、時には牧師さん、お寺さんもいるかもしれません。その人を排除するのではなく、その人がこの地域にいるためにはどうしたらよいかを、観念的にではなく、BPSのエビデンスを持って展開していく、そして全体を調整、コーディネートしていく、その中心がソーシャルワーカーなのでしょう。そしてこの考え方が、CBRなのだと思います。(CBR=Community based Rehabilitation このお話はまた今度)

 障害のある子・人や認知症の方の問題にかかわっていて、以前は「困った人は困っている人」というキャッチフレーズでの取り組み・考え方が紹介されていました。少しまえからは「多職種連携」がいわれていますが、具体的になぜ、どう多職種連携で、それで何がどう解決するのかが雲がかかったようでした。(少なくとも私は) 今回、すこし雲が薄くなった気がします。しかし、司法福祉のとりくみでコーディネートをする刑事司法ソーシャルワーカーの多くには権限がなく、どうにかボランティアではなく働けるように、うまい制度ができるようにしていかなくてはと思います。(小林)

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