実は身近なこと

 新型コロナウイルス感染問題がすでに3年目になりました。2020年の1月頃から日本でも広まり始め、世界中で大変な状況になりました。東京社会福祉士会司法福祉委員会でも、毎年年度末(2月から3月)に行う「司法福祉公開講座」を中止せざるを得ませんでした。会場の早稲田大学が閉鎖となったためです。そのころはまだ、こんなに大変なことになるとは考えてもいませんでした。卒業式や入学式ができるできないと言っているうちに緊急事態宣言になり、世の中がかわりました。

 会議も集まって行っていましたが、一変して、Zoomなどのオンラインでの集まりに移ってきました。司法福祉委員会も約半年間、委員会をお休みして、後半はZoomでの開催になりました。そのほかの研修も同様です。半年前には見たことも聞いたこともなかったZoom、今は自分でミーティングをスケジュールして開催しています。夜遅くまで外にいることもなく、自宅で会議ができて、終了したら本当に終了です。時には会議と研修と同時に参加したりして・・・なんと便利なと感心します。ただ、実態がなく、生感がないので、関係が希薄になる感じがします。終了後や会議の間のお話や、参加者のロビー会話、名刺交換がなく、さっぱりしたもので、不安になります。旅行や余暇活動も希薄になり、気が抜けない感じがします。

 そんなこんなでしたが、2年目の昨年はワクチン接種も進み、昨年末には感染者数も減り、このまま終息になるのではないかという感がありましたが、新種が出てきて、すごい勢いで感染者数が増えています。昨年とは倍以上の増え方です。昨年までは、ワクチン接種みしましたし、マスク、うがい、手洗いもしていましたが、家族にも、職場にも感染者はほとんどいませんでした。が、新種では身近かで感染者、濃厚接触者が発生しています。いまさらですが、とても近くに感じています。新型コロナ感染問題はテレビのニュースだけでなく身近なことだったのです。

 司法福祉の仕事をしていると、DVや依存、精神疾患からの事件など家庭内でおきた事件に多く接します。生活歴や家族歴、日頃のご様子などを聞いていますと、毎日のように繰り返されて、事件になってきているようです。虐待事件でも思いますが、今もどこかのご家庭で、緊張の走るやり取りが展開されて、誰かが怒り、誰かが泣いているのかもしれないのです。

 かつて、日本てんかん協会の事務局で仕事をしていた時、「今、てんかん発作で苦しんでいる人のことを考えろ」と言われたことがあります。てんかんでも赤ちゃんの点頭てんかんは、シリーズで発作をおこし、それも日に何回とくりかえします。そのことを考えると 「今、てんかん発作で苦しんでいる人のことを考えろ」 ですが、なんとご無体なと少し思っていました。

 身近にいないとそんな問題があるとは気が付きませんが、実は身近にいろんなことがおきているのですね。専門職でありながら、こんな当たり前のことに今更気付くとは、まったくお恥ずかしいことです。