以前に犯罪を犯した人が再び犯罪を犯した場合をいいます。(刑法56~59条)「累犯の3要件」というものがあり、①以前に懲役の実刑判決を受け刑務所に入っていたこと、②刑期を終えた日から5年以内に新たに罪を犯したこと、➂新たな罪の判決が有期の懲役刑であること、となっています。
福祉的支援が必要な人の犯罪で、たびたび聞く言葉が「常習累犯窃盗」です。これは窃盗罪・窃盗未遂罪に当たる行為を常習的にする罪です。過去10年間に3回以上これらの罪で、6か月以上の懲役刑を受けた人が、新たに同じ罪-窃盗(含む未遂)を犯すと 「常習累犯窃盗」 となり、懲役3年から20年と通常の刑よりは重くなってしまいます。刑務所から出所して(刑期が終わって5年以内)すぐの再犯で、再び懲役刑判決になる場合は、執行猶予が付くことはできないとなっています。
常習累犯窃盗になる方は、1.生活に困っている人- 仕事がない、周囲のサポートもなくその日暮らしになってしまっている、2. 窃盗症、クレプトマニア他の精神疾患でコントロールがきかなくなっている、3. 認知症や知的障害があり、行動の見守りが困難な場合、等々があります。
刑事司法ソーシャルワーク活動では、その人のアセスメントをして更生支援計画書をつくるのですが、認知症が見過ごされていたり、窃盗症の治療がされていなかったりと、アセスメントの過程でその犯罪のいろいろな背景が見えてきます。保釈中に、専門医療機関で受診しMRIで特殊な脳梗塞が発見されたケースや、いわゆる認認介護状態であったことがわかり生活状況が整理されたケースなどがあり、累犯を免れ再度の執行猶予になったこともあります。
犯罪はその人の氷山の一角で、その下に何があるかをよく理解し、解決していかないと累犯を防ぐことができないと思われます。