控訴審

刑事司法ソーシャルワーカーの活動で、控訴審のご依頼がときどきあります。

「控訴」とは地方裁判所・家庭裁判所・簡易裁判所がした第一審の判決に不服があるとして、高等裁判所に申し立てることです。

同じ「こうそ」には「公訴」もあります。「公訴」とは、検察官が、管轄裁判所に起訴状を提出して、被告事件の審判を請求することです。裁判で検事が「公訴事実」を読み上げますが、「公訴事実」とは起訴状に訴因の形で記載される犯罪事実のことです。

さて「控訴」ですが、裁判長が裁判の終わりに必ず被告人に対し、「判決内容に不服がある場合は、判決が言い渡された日から14日以内に申し立てができます」というあれです。不服がある場合は、第一審が行われた地方裁判所・簡易裁判所に「控訴申立書」を提出します。その後、「控訴趣意書」の提出がもとめられ、決められた期限内に、次に控訴審が行われることになる裁判所へ提出します。「控訴審」は高等裁判所、最高裁判所で行われる裁判です。一審の裁判所( 地方裁判所・家庭裁判所・簡易裁判所)がした判決に対して行う裁判です。地方裁判所は各県にありますが、 高等裁判所は全国に八か所ですから、たとえば新潟地方裁判所で控訴すると東京高等裁判所、水戸地方裁判所も東京高等裁判所、東京地方裁判所も東京高等裁判所での控訴審となります。ちなみに裁判所のホームページに各地の裁判所と管轄地が出ています。裁判所 – Courts in Japan とてもいろいろな情報が掲載されています)

刑事司法ソーシャルワーカーの活動で行われる控訴審でも、障害や高齢、疾患等で犯罪になってしまった事件で、福祉的支援が必要なものがよせられます。第一審で 障害や高齢、疾患等 を検討されることがなく有罪判決になったものがほとんどです。控訴しようとご本人が不服に思ったか、また他の誰か考えてご本人とそういう話になったかは不明ですが、控訴はよくあることのようです。国選も私選もあります。

日本では公平な裁判のために三審制が採用されています。三審制とは当事者が希望すれば原則三回まで審理を受けることができるというものです。刑事事件において、第一審は地方裁判所又は簡易裁判所。控訴して第二審は高等裁判所。次は上告(控訴ではない)して最高裁判所となります。少年事件は家庭裁判所の出した保護処分決定に不服申し立てとして高等裁判所に「抗告」することができますが控訴とは異なる制度だそうです。

「上告」は、高等裁判所の判決に対して不服として行うものですが、原則として第二審の判決に憲法違反または判例違反があった場合に限られているそうで、控訴よりも上告が認められる可能性は低いとのことです。「控訴」と「上告」を「上訴」といいます。