家族機能研究所代表の斎藤学先生の新しいご著書です。扶桑社から2022年2月に出版されました。
斎藤先生と言えば、依存症という言葉を広め、特に機能不全家族で育った「アダルトチルドレン」という概念を日本に広めた方です。(著者紹介より)先生のご本で、家族関係、家族機能、機能不全家族などたくさん学びました。https://booklog.jp/author/%E6%96%8E%E8%97%A4%E5%AD%A6 (斎藤学おすすめランキング)
相談事業で、ご相談者の成育歴などご家族全体についても、できるだけ聞き取ることをしています。その人の問題には、レントゲンやMRI、血液検査のようなその人単体の情報だけではわからず、いろいろな背景が分かるとわかるということが往々にしてあります。昨今、いわれているトラウマインフォームドケアも同じでしょう。機能不全家族や共依存の知識で、こういうことはありませんか?と尋ねると、「あります、祖父にお酒の問題がありました」との返答、当たり!です。家族という背景をしょって、その人は出来ているんだと思わされることがたびたびです。
その斎藤先生から『「毒親」って言うな』と言われ、少なからず驚きながら読みました。先生は2015年ごろから毒親脱出だったようです。「自分を責める(自罰)のをやめ、親に責任転嫁する(他罰)のもやめると、だいぶん楽になって、まともにものを考えられるようになってきます。そうすると、ほかの選択肢も見えてくるはずです。だから、まずは、さまざまな思い込みをいったん疑ってかかるとよいでしょう。」(第4章「毒親論」を手放してどこへむかうのかーより抜粋)ここまで来るのは、またこの言葉を受け入れるのは大変なことでしょう。
万引きを繰り返す若い女性の事件を扱ったことがあります。ご本人もご家族もたいへんです。どうしてこうなっちゃうのか、どうしてあげたらぬけでることができるのか、ケースごとに異なるとはおもいますが、大変悩ましいです。時間が解決?気持ちを切り替えれば解決?なら、そこまでに行きつく、自分を客観視でき、しがらみから抜け出すまでには大変な犠牲が払われると思います。A子さんなのに、A子さんの望む自由な人生がおくれなくなっています。
しかし、いつまでも自分を責め、親をせめているのではなく、自分の人生を生きることが大事なことは確かです。私にできることは、相談の助言では、これまでを振り返りながらも、これからの自分を作るための助言に重きを置くということでしょうか。