3月24日(日曜日)に2023年度司法福祉公開講座が開催されます

「ホスト」や「メン地下(メンズ地下アイドル)」など、女性が男性の性的魅力を消費する「推し活」ビジネスが拡大しています。「推し活」につぎ込む資金を得るために犯罪に加担したり、疑似恋愛の破綻から自傷や他害に及んだりする事件も起きています。事件を起こした女性の支援では、女性の搾取と加害の関係を「ジェンダーが犯罪に与える影響」に注目して読み解くジェンダー視点が求められます。
本講座では、加害をしてしまった「彼女たちの困難」と支援する「私たちの困難」を対話で結びながら、被害と加害が交錯する女性の支援に求められるジェンダー視点とは何かを考えます。

テーマ:「推し活」が犯罪を招くときー何が彼女をそうさせた?
~「女子」による「犯罪」をジェンダー視点から考える~

日時:2024年3月24日(日)午後1時より4時30分

方法:対面とオンラインでのハイブリッド開催

受講料:①一般 2,000円
②道府県社会福祉士会の会員・保護司 1,500円
③東京社会福祉士会の会員 1,000円
④学生及び教員 無料

申込方法:こくちーずをご利用ください。

会場参加
https://www.kokuchpro.com/event/514526d1b6a88831213d93dbc0d994cf

オンライン参加
https://www.kokuchpro.com/event/93bfb6ed9c9ce86a40825135d2a2ae92/

主催:公益社団法人 東京社会福祉士会

喜連川社会復帰促進センターでSDGs

 先日、喜連川社会復帰促進センターを見学してきました。平成19年4月にPFI施設として開庁してから15年が過ぎ、昨年4月にPFI事業が終了したそうです。第2期公共サービス改革法事業(注1)が始まったそうです。同じく令和4年7月からは女子受刑者の収容も始まり、男女混合の職業訓練もあるそうです。

 収容定員は1.956名で、一般ユニット(犯罪傾向が進んでいない26歳以上の男子受刑者)が1.500名、特化ユニット(26歳以上の男子のうち、精神疾患又は知的障害を有し、社会適応のための訓練を要する、または身体障害又は高齢のため用語的処遇を要する、に該当する受刑者)406名、女子受刑者50名となっています。

 社会復帰のための自立の支援として職業訓練があります。一般ユニットの職業訓練には14科目です。【取得資格】①調理科 ②クリーニング科 ③CAD技術科 ④情報処理科 ➄介護福祉科 ⑥農業科 ⑦電気工事科 ⑧ネイリスト科 【知識、技術及び経験を付与】①生産技術取得訓練(木工-立派な日光彫のタンスを作っていました)②ネット販売実務科 ③在宅ワーカー育成科 【社会人常識、マナーの習得と自己開発】①キャリアガイダンス科 ②ハウスクリーニング科 ③普通救命科となっています。特化ユニットは1科目で身体機能の回復 窯業科となっています。

 今回は農業科の作業を見学しました。喜連川センターではSDGs達成に向けた連携協力事業があります。喜連川センターは敷地面積が425.891㎡で建物延面積が73.900㎡となっており、広大な森があります。センター内とその周辺には在来種の動植物が存在しています。その保全活動もSDGs達成に向けた連携事業となっています。カワラノギクとミヤコグサを栽培し、シルビアシジミ(絶滅危惧種)の保護に関与しているそうです。農業科が管理する有機農業のセンター農場を見学した際に小さな蝶が飛んでいて「おっ、シルビアシジミ!」と言いましたら、案内くださったセンターの職員の方から「違います、単なる小さい蝶々です」と言われました。他に、芝地の環境維持や調査・観察をする「ハナヤスリ・プロジェクト」の取り組みがあります。有機農業で作った収穫物は、近隣の福祉施設等で食材として活用しているそうです。喜連川社会復帰促進センターにおけるSDGs達成に向けた取組に関する法務大臣訪問について | さくら市公式ホームページ (tochigi-sakura.lg.jp)

(注1)公共サービス改革法は、官民競争入札・民間競争入札(いわゆる市場化テスト)を活用し、公共サービスの実施について、民間事業者の創意工夫を活用することにより、国民のため、より良質かつ低廉な公共サービスの提供を実現することを目的としており、当所の運営業務のうち、公サ法第33条の3第1項第1号~4号及び同第6~13号に掲げる業務並びにその他の非権力的業務(被収容者に対する有形力の行使及び被収容者の権利を制限し、又は被収容者に対し義務を課す処分を伴う業務を除いた業務)について、平成22年5月から民間事業者に委託して行われています。具体的には、総務・警備業務の一部について業務委託するとともに、受刑者に対して行われる職業訓練や教育プログラムなどの一部業務について、民間事業者のノウハウを活用して行っています。001323143.pdf (moj.go.jp)静岡刑務所 (shizuoka-prison.go.jp))  

保護上移送

 収容されている刑事施設が本人の帰住地から遠隔であり、身体または精神に障害がある等の理由で、ほんにんが独力で帰住することが困難であると認められる場合等に釈放前に本人の帰住地の近隣の刑事施設へ移送すること、です。

 帰住地から遠隔の刑事施設であったり、身体または精神に障がいを抱えている場合に、退所前に帰住地の近隣の矯正施設へ移行する ことが出来る制度です。 司法の制度のため、保護観察所、矯正施設へ働きかけを行う必要があります。

 地域生活定着支援センターが動く特別調整の対象者の方の場合、障害や高齢など福祉的支援が必要で、満期釈放となっています。どうしても矯正施設退所時の出迎えが不可欠となります遠方の矯正施設から出所した対象者は、帰住する交通費だけですべての所持金を消費してしまうことがあります。このような場合「所持金0」の状態から支援が開始されます。さらに単身での移動には危険を伴うことも想定されますので、遠方の矯正施設から帰住する場合等は「保護上移送」の対象者として矯正施設に依頼をおこないます。(参考資料:地域生活定着支援センターガイドブック)

保護司の仕事

 保護司について刑事司法に関わっている社会福祉士でも、詳しくは知らない方が多くいらっしゃいます。社会福祉士・精神保健福祉士のカリキュラムに、2007年に「更生保護」が入り、2024年よりは「刑事司法と福祉」が入ります。更生保護で保護司は重要な位置なのですが、意外と皆さんご存じありません。

 意外にも社会福祉士会会員で保護司をしている方は結構おられるようですが、刑事司法ソーシャルワーカー、司法福祉委員会の中には少ないようです。だからでしょうか、更生支援計画書に保護司をつけますとあったり、矯正施設に入っているのに保護司が付いていると考えていたり、時々おやっ?と思うことがあります。「更生保護」を学んでも細かいことはご存じないと思うことが時々あります。

 保護司は、保護司法の規定に基づき、都道府県の区域を分けて定められた保護区のいずれかに所属して、保護区ごとに保護司会を組織するものとされています。これらの保護司会は、都道府県ごと(北海道では保護観察所の管轄区域ごと)に保護司会連合会を組織しています。保護観察所の依頼で担当者を持ち、保護観察等を行います。

保護司の仕事には次の3つがあります。 

1. 保護観察  犯罪や非行をした人たちと定期的に面接を行い、更生を図るための約束事(遵守事項)を守るよう指導するとともに、生活上の助言や就労の手助け等を行います。仮釈放の人や保護観察付執行猶予の人、一部執行猶予の人を、個別に担当して期間満了まで行います。保護観察所から依頼が来て担当します。毎月、報告書を提出します。最近は副担当制があり、2人で担当することもあります。満期釈放者には保護司はつきません。

2. 生活環境の調整 少年院や刑務所に収容されている人が、釈放後にスムーズに社会復帰できるよう、釈放後の帰住予定地の調査、引受人との話合い等を行い、必要な受け入れ態勢を整えます。矯正施設に入った直後より、帰住地調整が始まります。対象者が帰るつもりのところ、引受人を指定すると矯正施設から保護観察所に連絡が行き、その地区の保護司が引受人と指定された人の所に出向きます。

 引受人の多くはご家族ですから、ご家族は保護司が付いたと思われることもあるようです。そうではありません。出所の時まで数回の調整が行われます。矯正施設からの依頼がある、その都度、保護司は訪問し引き受けの意思や生活状況を確認します。1回目は大丈夫でも、その後ダメになることもあります。

 保護観察は仮釈放・一部執行猶予であることが前提です。引受人が断っても、満期釈放になってしまうと好きなところに帰っていいわけです。なお、生活環境調整をしたからその人の担当になるとは限りません。

3. 犯罪予防活動 犯罪や非行を未然に防ぐとともに、罪を犯した人の更生について理解を深めるために、世論の啓発や地域社会の浄化に努めるものです。毎年7月は、”社会を明るくする運動”強調月間として、講演会、シンポジウム、ワークショップ、スポーツ大会等様々な活動が展開されています。中学校や小学校の入学式や卒業式に列席するというのもあるようです。

 保護司になるためには、保護司法に基づき、次の条件を備えていることが必要となります。

  • 人格及び行動について、社会的信望を有すること
  • 職務の遂行に必要な熱意及び時間的余裕を有すること
  • 生活が安定していること
  • 健康で活動力を有していること

保護司の委嘱手続は、各都道府県にある保護観察所の長が、候補者を保護司選考会に諮問して、その意見を聴いた後、法務大臣に推薦し、その者のうちから法務大臣が委嘱するという手続によって行われています。保護司の任期は2年ですが、再任は妨げられません。

 多くの保護司さんは地域から推薦されて任命されます。PTA関係の方やお寺・神社の方々、郵便局や役所の方々が多いようです。警察署の少年係の方も保護司として登録されています。更生保護施設の職員も保護司となっています。

 ですが、再犯が多い現在は福祉的支援の必要な対象者が多く、福祉の専門家である社会福祉士・精神保健福祉士が保護司になることはとてももとめられることと考えます。

(参考:全国保護司連盟ホームページ保護司とは|全国保護司連盟 (kouseihogo-net.jp)

 

 

SCA

 3月12日に東京社会福祉士会・司法福祉委員会が公開講座を行いました。本ホームページでもご案内をしていました。テーマを「Change Now! 性依存ー変えられるものは変えていく」として、性犯罪と性依存を取り上げました。

 講師は医療と司法の講義と当事者グループの模擬ミーティングでした。東京社会福祉士会・司法福祉委員会の公開講座では、当事者の講義をお願いしています。今回は性依存がテーマでしたのでお願いできる方がいるかと不安でした。幸い、SCA熊本グループの皆さんがお引き受けくださいました。チェアマンのKENさんが広く知って欲しい、悩んでいる人はグループに繋がって回復の道についてほしいとの思いからです。被害者・加害者を作らないという思い、熱く語ってくださいました。

 SCAとはセクシャル・コンパルシブス・アノニマスの略で、性的強迫症からの回復を望む人々ならだれでも参加できる、12のステップに取り組むあらゆる性的指向の人の共同体です。SCA-JAPAN

 模擬ミーティングには3人の方がご参加くださり、ご自身の体験をお話しくださいました。やはり当事者の方のお話は迫力があります。一人ひとり、経験は違っていますが、治りたいとのおもいで自分を受け入れてミーティングで自分を話す。依存症全体がそうですが、大変な病気です。

 ダルクやマックが始まり、当事者のグループミーティングが知られるようになってきましたが、性依存のグループは、どうもあるようだがわからないと話していたことがあります。しかし、昨今はオープンミーティングまで行うグループがあります。検索すると様々な活動が出てきます。ぜひご参考にしてください。

3月12日(日曜日)に2022年度司法福祉公開講座が開催されます

2022年度司法福祉公開講座

性依存は、他者に対する深刻な被害を起こしかねない犯罪につながる依存です。自分で自分の行動をコントロールできない依存症の症状が他者に向いてしまうという点で、社会からも予防と回復が特に望まれています。
やめることができない問題行動、一番辛いのは当事者本人かもしれません。ある当事者は言います。「変わることができるのではなく、変わらなくちゃいけないのです」と。
今回は性犯罪に注目して講座を組みました。この大きな問題を考えたいと思います。当事者の方々のミーティングを中心に、医療・法律の立場からもお話を伺い、福祉の立場からの支援を学びます。

テーマ:Change Now ! 性依存 ― 変えられるものは変えていく

日時:3月12日(日曜日)13時00分~16時00分

方法:基本はオンライン(ZOOMウェビナー)です。オンラインで参加できない方向けに会場を用意します。会場は先着20人です。なお、見逃し配信はありません。

受講料:①一般2,000円
    ②道府県社会福祉士会の会員・保護司1,500円
    ③東京社会福祉士会の会員・学生1,000円

申込方法:こくちーず↓をご利用ください。https://www.kokuchpro.com/event/a3ce4bb8f76ad1e414958252a6b38903/

主催:公益社団法人 東京社会福祉士会

推しは目覚めないダンナ様です。

 2022年も今月で終わりです。いろんなことがあった1年でした。なんといっても、知人が突然に亡くなったことが一番大きく、今でも信じられません。ふと、今でも何かあると、相談したいと思ってしまいます。彼女の死因は虚血性心不全で、突発的起きたようです。こんなことがあるなんて信じられませんでした。

 私はてんかんに関わっていましたので、てんかん発作については知識がありましたし、運転中の発作による事故の問題で、てんかん発作より心臓疾患-発作の方が多いとは聞いていました。そのような突然の発作は、心疾患の既往症がある人だろうと、漠然と考えていました。しかし、知人もそうでしたが、心臓疾患の既往症がなくても突然の心停止はあるんですね。

 「推しは目覚めないダンナ様です。」という本が幻冬舎コミックスから出ています。「推しは目覚めないダンナ様です-低酸素脳症になってからの病院生活」 :: 幻冬舎コミックス (gentosha-comics.net) 34歳の夫が夜中に突然心停止。救急車を呼び、消防署オペレーターの指示に従って心臓マッサージ、救急車で救急病院ー途中で救急センターの医師同乗-治療開始、入院、リハビリ病院へ転院とめまぐるしく過ぎていく日々が、妻の視点で、ほのぼのとした画風(作者は妻本人のそらさん)で描かれています。そらさんは自分経営の美容師さんで、毎日、ダンナさんの病室に通います。髪も切ってあげますし、髭をそってあげますし、爪も切ってあげます。

 ダンナさんは、低酸素脳症で植物状態になりました。心停止の原因は、不整脈だったそうです。本に書かれている、病院での医師をはじめとしたスタッフとのやり取りが大変勉強になります。ダンナさんは緊張が強く、口腔を清潔に保つための歯磨きは大変だったようです。歯ブラシを強くかみしめて取れないことが多く、指が噛みつかれ外れなくなったり。そのような状態だからか歯が1本折れてしまったのです。そらさんのなぜこうなったかとの質問に、ある看護婦さんが「歯ぐらい折れても命に関係ない」と言い放ちます。

 そらさんは美容師さんなので、お客に理学療法士や看護師がいて、相談に乗ってくれます。病院のソーシャルワーカーも看護師もやさしく対応しています。先の歯の事件も、歯科担当者や看護師さん、STさんたちのフォローでおさまっていきます。そらさんが怒りを感じると炎があらわれますが、消火器がその炎を消してくれます。その表現がコミックならではです。PT,OT,STといった言葉や、高額医療費、障害者手帳等々の説明も自然な流れで出てきます。

 ソーシャルワーカーとして、日々いろいろなかたに接します。「歯ぐらい折れても命に関係ない」この感覚は自分の中に確かにあります。 このような本は、改めて、自分の行動を見つめる機会となります。知らず知らずにやっている、出している行動や言葉、自分を戒めたいと思います。

 

あしたの嬢

「風テラス」というNPOがあります。「風」は風俗の「風」です。その団体のホームページ(風テラスは、風俗ではたらく人のための 無料生活・法律相談サービスです。 (futeras.org))に「あしたの嬢」という情報マンガが掲載されています。(風俗ではたらいている方へ | 風テラス (futeras.org)

最近は地下鉄のポイント集めの案内で矢吹ジョーや力石とおる、丹下のおっちゃんが地下鉄の電車や駅に出てましたから、過去のキャラクターではないのかもしれませんが、「あしたのじょー」ときいて、あはっ、と思うのは少々古い人間かも知れません。でも、「あしたのじょー」はインパクトがある響きです。風テラスのホームページで見た時は、昭和女の私は「あはっ!」とおもいました。ちばてつや先生のまんが、リアルタイムで読んでいましたので。

風テラスの「あしたの嬢」は「頑張る風俗女子に明日の元気を届けるマンガ」で、保育園に子どもを預けるための就労証明の用意の仕方(第16話)、夜職女子のための離婚の手続き&準備のコツ(第7話)、やめたいのにやめられない!退店トラブルに関する不安(第4話)これまでの不安をスッキリ解消!ゼロからわかる確定申告(第5話)等々、現在第16話までアップされています。

他にも夜職法律講座や業務委託契約書(デリヘル用)テンプレート、夜の世界と福祉をつなぐ風俗福祉基礎研修、SNS相談基礎研修、連載コラム「風テラスに相談しよう!」などなど様々な情報が載っています。

そもそも「風テラス」って何でしょう。

「風テラス」は、風俗の世界で働く女性たちが、現在抱えている悩みや困難を、風俗で働いているということを隠さずに、安心して相談できることを目的に、どのような立場や環境に置かれていても、誰一人取り残されない社会の実現を目指して活動している団体です。

2015年に相談会を開始して以降、生活困窮や多重債務、精神疾患、DV・盗撮・性暴力被害などの課題に直面していながら、誰にも、どこにも相談できないまま、孤立してしまう女性たちとつながり、福祉と法律の両面から支援を行っています。(引用ー風テラスとは | 風テラス (futeras.org)

社会福祉士と弁護士がタッグを組んで活動しています。こんな活動もあるんです。ぜひ、ホームページをご覧ください。年越し募金やサポーターも募集しています。寄付について | 風テラス (futeras.org)

侮辱罪

 2022年度(令和4年)6月13日に、「刑法等の一部を改正する法律」(令和4年法律第67号)が成立しました。その中に「侮辱罪」の法定刑の引き上げがあり、7月7日から施行されました。今回の改正では、「侮辱罪」の法定刑が「拘留又は科料」から「1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」に引き上げられました。

 引上げの必要性は次の二つです。①インターネット上の誹謗中傷が特に社会的問題になっていることを契機として、誹謗中傷全般に対すr非難が高まるとともに、こうした誹謗中傷を抑止すべきとの国民意識が高まっている。②近時の誹謗中傷の実態への対処として、「侮辱罪」の法定刑を引き上げ、厳正に対処すべきとの法的評価を示し、これを抑止するとともに、悪質な侮辱行為に対して厳正に対処することが必要。

 「侮辱罪」は事実を適示せずに、「公然と人を侮辱した」ことが要件になっています。具体的には、事実を適示せずに、不特定または多数の人が認識できる状態で、他人に対する軽蔑の表示を行うと、「侮辱罪」の要件に当たることになるとあります。

 人の名誉を傷つける行為を処罰する罪としては、「侮辱罪」のほかに、「名誉毀損罪」(刑法230条)があり、この罪は、「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した」ことが要件となっています。
 いずれも、人の社会的名誉を保護するものとされていますが、両罪の間には、事実の摘示を伴うか否かという点で差異があり、人の名誉を傷つける程度が異なると考えられることから、法定刑に差が設けられています。「名誉毀損罪」の法定刑は「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」とされる一方、「侮辱罪」の法定刑は「拘留又は科料」とされてきたのです。
 しかし、近年における「侮辱罪」の実情などに鑑みると、事実の摘示を伴うか否かによって、これほど大きな法定刑の差を設けておくことはもはや相当ではありません。
 そこで、「侮辱罪」について、厳正に対処すべき犯罪であるという法的評価を示し、これを抑止するとともに、悪質な侮辱行為に厳正に対処するため、「名誉毀損罪」に準じた法定刑に引き上げることとされたものです。

 今回の改正は、侮辱罪の法定刑を引き上げるのみであり、侮辱罪が成立する範囲は全く変わりません。これまで侮辱罪で処罰できなかった行為を処罰できるようになるものではありません。個別具体的な事案における犯罪の成否については、法と証拠に基づき、最終的には裁判所において判断されることとなりますが、「侮辱罪」にいう「侮辱」にどのような行為が当たるかについては、裁判例の積み重ねにより明確になっていると考えているとのことです。

表現の自由は、憲法で保障された極めて重要な権利であり、これを不当に制限することがあってはならないのは当然のことです。
 今回の改正は、次のとおり、表現の自由を不当に侵害するものではありません。
 (1) 今回の改正は、侮辱罪の法定刑を引き上げるのみであり、侮辱罪が成立する範囲は全く変わりません。
 (2) 法定刑として拘留・科料を残すこととしており、悪質性の低いものを含めて侮辱行為を一律に重く処罰する趣旨でもありません。
 (3) 公正な論評といった正当な表現行為については、仮に相手の社会的評価を低下させる内容であっても、刑法35条の正当行為に該当するため、処罰はされず、このことは、今回の改正により何ら変わりません。
 (4) 侮辱罪の法定刑の引上げについて議論が行われた法制審議会においても、警察・検察の委員から、
  ○ これまでも、捜査・訴追について、表現の自由に配慮しつつ対応してきたところであり、この点については、今般の法定刑の引上げにより変わることはない、との考え方が示されたところです。(法務省ホームページ法務省:侮辱罪の法定刑の引上げ Q&A (moj.go.jp)よりほぼ引用しました。法務省ホームページにはさらに詳しいQ&Aが掲載されています。)

「刑法等の一部を改正する法律」(令和4年法律第67号) では「懲役、禁錮」を「拘禁刑」に改正することもありました。拘禁刑に処せられた者には。改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うことができる、とあります。そもそも、「懲役刑」は刑務作業を行わなくてはならず、それに対して「禁錮刑」収容されるだけで刑務作業を行わなくても良いのが基本でした。

 ただ、刑務作業を行うと作業報奨金がでます。禁錮刑の人が刑務所長に刑務作業を行いたいと請願が申出されれば認められ、刑務作業に勤しむことができ、いったん認められれば正当な理由がなければ辞めることができないのです。結果、多くの禁錮刑受刑者が刑務作業に従事し、現状では実質的に懲役と禁錮が変わらずにいたとの事です。(刑事事件ホームページ弁護士相談広場より)

「毒親」って言うな!

 家族機能研究所代表の斎藤学先生の新しいご著書です。扶桑社から2022年2月に出版されました。

 斎藤先生と言えば、依存症という言葉を広め、特に機能不全家族で育った「アダルトチルドレン」という概念を日本に広めた方です。(著者紹介より)先生のご本で、家族関係、家族機能、機能不全家族などたくさん学びました。https://booklog.jp/author/%E6%96%8E%E8%97%A4%E5%AD%A6 (斎藤学おすすめランキング)

 相談事業で、ご相談者の成育歴などご家族全体についても、できるだけ聞き取ることをしています。その人の問題には、レントゲンやMRI、血液検査のようなその人単体の情報だけではわからず、いろいろな背景が分かるとわかるということが往々にしてあります。昨今、いわれているトラウマインフォームドケアも同じでしょう。機能不全家族や共依存の知識で、こういうことはありませんか?と尋ねると、「あります、祖父にお酒の問題がありました」との返答、当たり!です。家族という背景をしょって、その人は出来ているんだと思わされることがたびたびです。

 その斎藤先生から『「毒親」って言うな』と言われ、少なからず驚きながら読みました。先生は2015年ごろから毒親脱出だったようです。「自分を責める(自罰)のをやめ、親に責任転嫁する(他罰)のもやめると、だいぶん楽になって、まともにものを考えられるようになってきます。そうすると、ほかの選択肢も見えてくるはずです。だから、まずは、さまざまな思い込みをいったん疑ってかかるとよいでしょう。」(第4章「毒親論」を手放してどこへむかうのかーより抜粋)ここまで来るのは、またこの言葉を受け入れるのは大変なことでしょう。

 万引きを繰り返す若い女性の事件を扱ったことがあります。ご本人もご家族もたいへんです。どうしてこうなっちゃうのか、どうしてあげたらぬけでることができるのか、ケースごとに異なるとはおもいますが、大変悩ましいです。時間が解決?気持ちを切り替えれば解決?なら、そこまでに行きつく、自分を客観視でき、しがらみから抜け出すまでには大変な犠牲が払われると思います。A子さんなのに、A子さんの望む自由な人生がおくれなくなっています。

 しかし、いつまでも自分を責め、親をせめているのではなく、自分の人生を生きることが大事なことは確かです。私にできることは、相談の助言では、これまでを振り返りながらも、これからの自分を作るための助言に重きを置くということでしょうか。