罰金

 財産刑(財産のはく奪を内容とする刑罰)のひとつで、国に罰金を納めなければならない刑事罰の一つです。犯罪の処罰として科する金銭のことで、原則として1万円以上です。(刑法15条)。犯罪ごとに〇〇円以下の罰金と刑法に定められています。有罪判決のうち、約80%以上が罰金刑になっているようです。

 罰金刑は起訴されて出される判決ですから、前科になります。罰金は原則として一括納付(状況によって相談も受けてもらえるようです)で、決められた期限までに納付しなくてはなりません。罰金が支払えない場合は「労役」になります。労役は拘置所で行われることが多く働きます。労役場の働きは、1日5000円計算となります。

 住所不定の方等では「満まで算入」というのがあり、未決勾留から裁判で判決が出るその日までの日数が罰金の金額と同じになる場合もあります。「被告人を罰金20万円に処する。未決勾留日数のうち、その1日を金5000円に換算してその罰金額に満つるまでの分を、その刑に算入する。」という判決で、罰金の納付は必要ありません。

執行猶予

 裁判の判決で、例えば、「懲役1年6か月、執行猶予3年」と言われることがあります。これは、裁判所が刑の言い渡しをした場合に、情状によって執行を一定の期間留保し、その猶予期間内に猶予を取り消されず、無事通過するときは、刑を科さないとする制度(刑法25条)です。

 つまり3年間、同様の犯罪を犯さなければ、懲役刑をまぬがれることになります。これは無罪なのではなく、有罪なのですが、社会の中で試されることになります。3年の間にまた捕まるようなことがあれば、その新たな犯罪の刑と、前の刑1年6か月が合わさった期間の懲役をすることになります。

 保護観察付執行猶予という判決もあります。単なる執行猶予とは異なり、保護観察付執行猶予になると、執行猶予の期間、保護観察所の指導と保護司がつきます。保護司さんの面接を定期的にうけて(だいたい月2回)、決められた住所で生活をします。決められた住所は自宅など自分できめるのですが、住所は保護観察所に登録をされ、転居や7日以上の旅行は、保護観察所長の許可を得なくてはなりません。

 刑事司法ソーシャルワーカーが弁護士から受任する案件は、ほとんどが障害や高齢などの情状がある方です。裁判で、その情状(障害や高齢の状態と支援が必要な状況等)と、判決後の対応(ソーシャルワーカーの支援や福祉制度の利用等)を説明し理解していただくことで、執行猶予を得ることが多いです。猶予中にソーシャルワーカー等の支援を受けて、生活を再建します。

裁判傍聴

裁判は基本どなたでも見ることができます。

霞が関でも立川でも、地方裁判所、高等裁判所共、見学ができます。

各部屋の入り口に、その部屋の予定表が貼ってあり、

時間帯と被告人名、検事名等がかいてあります。

お部屋にはいつでも入る、出るができますので、

のぞき窓で見て、「おっと、始まってる(!)」と思っても入って大丈夫です。

スマホは着信がならないようにして、静かに入って、適当なところに静かに座って聞いてください。(裁判傍聴が趣味だったりする方が結構いるようです。霞が関では、裁判傍聴芸人・阿曽山大噴火というかたと遭遇することもあります)

刑事司法ソーシャルワーカーのお仲間が証言になるときは、なるべく出入りはせず、それ以外はつまみ食い的にでも出入りして。

裁判の様子がわかるかと思います。 ただ、それなりにマスコミで扱われたような事件は抽選になることもあるようです。

留置の場所

東京には警察署が102施設あるそうです。23区内は一つの区に2~5か所あり、多摩地区は2~3の市に一つの警察署となっています。ちなみに八王子市は多摩地区でも他市と異なり、3つの警察署があります。

警察署に留置施設があるのですが、ほとんどは男性のみで、女性の留置施設は23区は警視庁本部西が丘分室、湾岸警察署、原宿警察署の3施設、多摩地区は武蔵野警察署、警視庁本部多摩分室の2施設になります。例えば中野区で逮捕されても勾留場所は中野警察署や野方警察署ではありません。接見する場合はご注意ください。

勾留と拘留と留置

刑事司法では「こうりゅう」という言葉を、たびたび耳にします。文字は「勾留」と「拘留」があります。たびたび漢字を間違えます。ご注意ください。

「勾留」は罪を犯したことが疑われ、かつ①住居不定、②罪証隠滅のおそれ、➂逃亡のおそれのいずれかの理由から、捜査を進めるうえで身柄の拘束が必要な場合に、検察官の請求(勾留請求)に基づいて裁判官が勾留状を発付しておこなう、強制処分です。原則10日、やむを得ない場合はさらに10日(合計20日)を限度に延長できるものです。

「拘留」は自由刑のひとつです。1日以上30日未満の間、刑事施設に拘置する刑です。禁固と同様に義務としての刑務作業は課されませんが、刑務作業に従事することを願い出て許されたときは、就業します。

「留置」は身体を拘束されている状態。「留置施設」は警察本部・警察署に設置され、逮捕または勾留された被疑者などを留置する施設

参考:(社福)南高愛隣会「罪を犯した障がい者・高齢者を受け入れるために」

入口支援

 平成28年度に施行された再犯防止推進法を元に、被疑者・被告人で支援が必要な人々への対策が進められています。厚生労働省は令和3年度より入口支援として、刑事司法手続きの入り口段階になる被疑者・被告人等で高齢又は障害により自立した生活を営むことが困難なものに対して、釈放後ただちに福祉サービス等を利用できるようにするため、地域生活定着支援センターにおいて新たに高齢・障害被疑者等支援業務を開始するとしています。「入口」とは矯正施設への入り口という意味です。対応して出口支援があります。「出口」は矯正施設からの出口という意味です。「入口支援」は厚生労働省の地域生活定着支援センターだけでなく、検察庁、弁護士会も取り組んでいます。当会の相談員は弁護士会と連携をして活動しています。

保護司

 当会の相談員は保護司をしているものが数名います。保護司は更生保護に携わる非常勤の国家公務員として、保護観察所からの依頼で、仮釈放や執行猶予の方の保護観察に関わっています。地域の保護区に所属して活動をしています。保護司は地域活動から推薦されてくる方が多く、地域の名士さんが多いのですが、最近は社会福祉士や税理士、心理職の資格のある人も増えてきました。保護観察対象者には障害や病気のある方も多く、専門性のアセスメントや福祉制度へのつなぎが求められるケースも多くあります。社会福祉士としてやりがいのある活動の一つです。

得耳とは?

「勾留」、「留置」、「拘留」ってどんな意味?犯罪に関連した用語などを紹介してゆきます。皆様からの質問にもお答えします。

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